第2回:子供と過ごす時間がアートであるということ
【アートって何でしょう?】
皆さんにとって「アートとはどのようなもの」でしょうか?
この質問、よく聞きますよね。知人友人に、大学の学生に、講演会などで…私は、この質問に多分もう何百回も答えてきました。そんな私が、ここで自問自答してみます。
その答えは、無限にあります。正しいとか、間違っている、ということは無くて、答えはとても自由です。……え?なんか、わかるような、わからないような?…しかし、「アートは自由だ!」なんて、ちょっと反則っぽい気もしませんか?なので、私はいつもその質問には設定が必要だと考えています。例えば「私にとって、アートとは何でしょう?」「あなたにとって、アートとは何でしょう?」とかね。
もしくは「環境に関わるアートとは」とか、場合によっては「アートって何の為に必要だと考えますか?」とか「アートによって変えられるものは何ですか?」などです。そしてこのような質問の場合、アートの定義も示しておく必要がある気がします。そこで、今、私がこのコラムで採用したい定義は…アートとは「人が創り出すもの」ということでお願いします。
アートという単語を「人が創り出すもの」に変えてみてください。すると、アートって何でしょう?という初めの質問に対して、少し具体性が出てきませんか?
そこで改めまして、
「アートって何でしょう?」=「人が創り出すものって何でしょう?」
自問自答の答えですが、私は「人のために人が創り出すものは、優しさの具現化」かと…そうあってほしいと思っています。(答えというより、願いかな…はい、あくまでも私の回答です。)
【お子さんと一緒にアートを体感すること】
お子さんと参加するアートイベント、お子さんと見るアート作品…それはきっと1人でイベントに立ち寄った時や、デートでパートナーと一緒に参加していた時とは違う印象(体感)があるでしょう。お子さんと共にたどり着いた場所からは、何が見えますか?どんな達成感がありますか?アートの力は不思議です。同じ作品なのに、それに関係する状況やタイミングが変われば、見え方や感じ方が変わってきます。
子供たちとアートイベントに出かけると大きく2つのいいことがあります。
【その1】限りなく近く、子どもの目線に戻れます。
アートを体感するとき、よく「子どものようにピュアな感受性で受け止めてみて」なんて聞きますよね。でも、実際のところ、私たちにはそれはできそうで、できない、なかなか難しい変身技です。なぜなら、答えは簡単‼ 大人は大人、子どもは子ども…だから(笑)
でも、お子さんと一緒であれば、その目線でものを見る手掛かりがあります。お子さんは、何をどんな表情で見ていますか?何をどんな風に感じ取るのでしょうか?体を使って表現する子もいるかもしれません。可能なら、感想を聞いてみてください。
きっと王子や姫のお話は、独創的で面白いと思いますよ。
【その2】見えていなかったものが見えるようになります。
前文のような目線でアートに触れると、普段の生活の中での様々な感動に気が付くチャンスがあります。「え?それって別にアートイベントに行くことと関係ないでしょ?」と思いますか?……いえいえ、実際に触れたからこそ見えるもの、感じられる何かが必ずあります。これは「想像する」と「創造する」ことによって起きるアートマジックで、とても不思議な現象ですが…伝聞やイメージしただけでは体験できないもの、アートを体験した者に与えられるご褒美です!
いかがでしょう? お子さんと一緒にアートを体験しに、外出してみませんか? 外出がゲームであるならば「創造しながら進む」これが大事なミッションです。
【自粛期間とアートな時間】
このコラムをお読みの方の中には、子育てに大忙しで「とはいっても、外出は難しいのよ…」といった親御さんもいらっしゃると思います。特に今はコロナ禍の影響で外出は控えたい方も多いですよね。
そんな時は「お子さんと過ごす時間がアート」であると考えてみてください。
「人が創り出すもの」がアートだとすれば「親子で創り出した時間」もアートそのものですね。テーマも色々、作品の作り方も色々です。作品は人と似なくていいですよ。アートですもの。オリジナリティだらけです。子ども達は元気一杯、何にでも興味があります。次に何が起きるかなんて分かりません。彼らについて行くには想像力がめちゃくちゃ必要です。
これからまた状況も良くなってきて、アートイベントにお子さんと一緒に出かける機会もきっと増えてくると思います。その時には「会場に辿り着かなくてはアートに出会えない」と思わずに、どうかその道中をお楽しみください。会場に向かうその旅路も既にアートなのですから。旅路で起きる様々な仕掛けに挑み、謎解きができたご褒美をゲットしながら、お子さんと協力してアートの旅を進んでみてください。
有賀三夏 ありが みなつ
画家、アートセラピー研究者。普段、某芸術系大学にて「人の心理」と「芸術」、ハタマタその「環境」についてなどの講義を担当。著書に『女子大生に超人気の美術の授業』(幻冬舎) / 『自分の強みを見つけよう』(ヤマハミュージックメディア ) / 『私だけの魅力をつくるアートセラピー・ノート』(大和書房)。
有賀: 一言コメントの一言が思い付かず、藤原さんを困らせました。笑!
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