2_家族写真を撮ること

【どこで誰に】

私が機材を持って向かう先、結婚式・舞台・展覧会・建築などのお仕事撮影のひとつに「家族写真」があります。


記念日や七五三などのイベントで定期的に呼んでくれるご家族もいて、そういう皆さんにはもはや親戚のような友達のような親しみを持っており、お互いリラックスして遊びながら撮っている感じ。


一般的には個人の写真家に「家族写真」を頼む人は少数派で、大手の子ども写真専門のスタジオに行くとか、写真の好きな友達に頼むとか、スマホで自分たちで撮るとか、、、デジタル(カメラ)の台頭によって写真を残す選択肢が格段に増えましたね。カメラを持っていない人も少ないですし、老若男女皆スマホで写真を撮りますし。


選択肢が増えたからこそ、このような時代に「どんな写真を未来に残したいか」「どこで誰に撮ってもらうか」はとても大きな意味を持つと私は考えます。



【家族写真を残すこと】

私は常々「関係が写真に写る」と感じています。

こちらの写真に写っている家族はもともと友人で、2人の結婚式にも参列しました。それから子どもが生まれて結婚10年の記念に、結婚式の時のタキシードとウェディングドレスをもう一度着て家族写真を撮りたいというオーダーを頂き、撮影地もいわゆるスタジオではなく家族の思い出の場所にしようという話になり、よく遊びに行く河原で撮ることに決めて、、、みんなでとても楽しく過ごしてきました。


当日はカメラ目線をもらって笑顔の記念写真も撮りつつ、3人でのんびり川辺を歩いてもらったり、「ここでホットケーキ屋さんをするよ」というKJくん(お子さん)と石を並べて遊んだり、家族の始まりである夫婦ふたりの写真も撮ったり、、、盛りだくさんの一日になりました。

このコラムを書くにあたり「写真を撮ってどう思った?」と改めて彼らに尋ねたところ、以下のような返答をいただきました。


・普段はお父さんがカメラマンなので家族3人で撮れて嬉しい


・寝室に大きくプリントして飾っており、寝る前と起きた時にいつも「良い家族だなぁ」としみじみ感じられる


・周りからも仲良しの家族と言われているけど、それが写真になって改めて実感できた。また、撮る方も写る方も自然体で、美しいドキュメンタリーの映画になったみたいで、自分たちのことを素敵だと思えた。


(こちらは夫婦からのリクエストショット)


私はこの言葉たちをもらって、自分の仕事をとても誇らしく感じることができました。


写真になることで、目に触れる。


自分たちのことを、(本人、当事者の目線から)少し離れて見ることができる。


その写真を見るたびに自分たちは幸せだと思える。

日々の暮らしの中には悲喜こもごも色々ありますが、いつでも戻れる大切な場所、変わらない安心できる場所のように写真の存在があったら良い。私は写真家として、そういう写真をきっと撮ることができると信じて撮影しています。被写体が人でも花でも建物でも変わらず、誰かにとって(私にとって) 必要な、生きていくエールになるような写真を撮りたいと思っています。


イベント…一緒にビエンナーレ⁉


赤木 遥 あかぎ はるか

写真家/アーティスト

1987年生まれ。写真を撮って暮らしています。

赤木:母とは外出した思い出より、家の中での記憶が多くあります。「なんでも一人でできるように」という教育方針の下、包丁の使い方や洗濯物の畳み方などの生活にまつわる色々なことを教えられました。針仕事で指を刺したりコンロで火傷をしても、「自分でやらないと覚えないから。これも経験だよ。」と言われていました。おかげで生活で困ることがあまりなく、大人になってから助かっています。